電子音楽とデジタルクリエイティビティの祭典「MUTEK.JP 2025」に代表 毛利英昭が登壇しました
- 株式会社Meta Osaka

- 3 日前
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更新日:1 日前
大手デベロッパーと地域密着企業が語る、都市×メタバースの実践知
2025年11月21日、今年10周年を迎える電子音楽とデジタルクリエイティビティの祭典「MUTEK.JP 2025」に代表 毛利英昭が登壇しました。 東急株式会社の峰崎大輔氏と共に、東急による渋谷のデジタルツイン、Meta Osakaによる大阪の歴史再現など、メタバースを活用した都市づくりの最前線を語りました。

イベント概要
イベント名: MUTEK.JP 2025 Pro Conference
日時: 2025年11月21日(金) 14:30〜15:15
会場:渋谷ヒカリエ Hikarie Hall B主催:一般社団法人 MUTEK Japan
テーマ:都市とメタバースの未来
登壇者:
峰崎大輔氏:東急株式会社 渋谷開発事業部 開発計画グループ まちブランディング企画担当
毛利英昭:株式会社Meta Osaka 代表取締役
西村真里子氏:株式会社HEART CATCH 代表取締役(モデレーター)
MUTEK.JPは、電子音楽とデジタルクリエイティビティの祭典として今年で10周年を迎える国際的なイベントです。 「Pro Conference」では、テクノロジーと創造性の融合をテーマに、様々な分野の先進事例が紹介されました。
人口減少や災害対策、インバウンド対応など、都市が抱える課題は多様化しています。 本セッションでは、こうした課題にメタバース技術でどう向き合うべきか、先進事例をもとに議論を深めました。
大阪・なんばを起点としたデジタルツイン戦略
Meta Osaka代表の毛利は、「大阪を世界一おもろい都市にする」というミッションのもと、デジタルとリアルを融合した「デジタルツイン」の取り組みについて紹介しました。

▪️EXPO2025大阪・関西万博での実績
EXPO2025大阪・関西万博では、5月に「メタバース・XR・AIアワード」を開催。 1,800名収容のEXPOホールで2日間に延べ1万5,000名を動員しました。 「万博を訪れた方々が、メタバースやテクノロジーに非常に強い関心を持っていることを実感しました」と毛利は振り返りました。
また10月の「こども万博」では2日間で2万4,000人が来場し、外務省・文部科学省をはじめ51団体から後援を受けました。 大阪市や兵庫県など多くの地方自治体からの支援を得て、万博という国際的な舞台で大きな注目を集めるイベントとなりました。
▪️地域に根ざしたデジタルツインの取り組み
世界的に人気のゲームプラットフォーム「Fortnite」で道頓堀を再現した陣取りゲーム「DOTONBORI BATTLE」を制作し、地元商店街と協力して「道頓堀eスポーツ運動会」を開催。約30組のファミリーが集まり、eスポーツを活用したリアルイベントで地域交流を促進しました。
また、「失われた歴史の再現」にも取り組んでいます。 現在のなんばパークスがある場所には、かつて南海ホークス(現ソフトバンクホークス)の本拠地「大阪球場」がありました。Fortnite内でなんばパークスを再現したマップでは、ゴールすると大阪球場があった時代へ「タイムリープ」できる仕組みになっています。
「今の子どもたちは全く知らない歴史ですが、親世代やおじいちゃん・おばあちゃんが『ここに球場があったんだよ』と話すきっかけになります。 世代間コミュニケーションを生むツールとして機能しています」と毛利は説明しました。
▪️社会課題解決の事例とビジネス活用の可能性
社会課題解決の実例として、Meta Osakaが開発したRobloxの「消防士体験ゲーム」を紹介しました。火災を発見し「119番通報」から始まる一連の流れをゲームを通じて子どもたちが体験できるコンテンツで、こども万博の会場や小学校の授業などで活用されています。
「ゲームだから子どもたちが自分から自発的に参加する。防災訓練に子どもたちが自ら参加したくなるきっかけ作りができます」と毛利は強調しました。
今後の展開として、Robloxのビジネス活用の可能性についても言及しました。 Robloxは世界4億ユーザーを持ち、1日のアクティブユーザーは1億5,000万人。海外では既にECサイトと連動してデジタルアイテムを販売する仕組みが実装されており、アディダスやランボルギーニなどが200〜300万円のアイテムを実際に販売しています。 「日本でも間もなくEC連携が可能になる予定で、新たな収益源として期待しています」と語りました。
大手デベロッパーが渋谷を"正確に"再現する理由
東急の峰崎氏は、「Greater SHIBUYA 2.0」というミッションのもと、渋谷エリアのデジタルツイン構築に取り組んでいることを紹介しました。

▪️なぜ東急がメタバースに取り組むのか
「再開発などのハードウェア整備は数年に一度しか大きなニュースになりません。 日常的に渋谷への注目を集めるため、デジタル空間での発信が重要だと考えました」と峰崎氏。また、例えば1990年代の渋谷の記録など意外とまとまった形では残っていないという課題もあり、「デジタルデータとして正確に保存することに価値がある」と述べました。
▪️PLATEAUを活用した渋谷の再現
東京都と国土交通省が提供する都市3Dデータ「PLATEAU」を活用し、「SHIBUYA109」からスクランブル交差点、道玄坂周辺までを含むエリアをFortnite上に再現。 2025年4月に公開されました。周辺の大型ビジョンも忠実に再現されており、将来的には企業とコラボしたバーチャルジャックなども検討しているとのことです。
▪️防災・教育への実用展開
今後の活用方針として、防災シミュレーションへの展開を構想していることが明かされました。 「正確な街の再現があれば、『このガラスは割れやすい』『この道はアンダーパスで浸水しやすい』といった具体的なリスクを学べます」。 また、若い世代が知らない渋谷の歴史(かつて駅が地上にあったことなど)を伝える教育ツールとしても活用していく方針です。
峰崎氏は「様々な都市でデジタルツインが広がり、お互いの事例が膨らんでいけば、この技術が一般化する社会が訪れる」と、全国展開への期待を語りました。
渋谷となんば、両都市のデジタルツインから見えたメタバース活用の可能性
モデレーターの西村氏の進行のもと、大阪と東京それぞれの都市でデジタルツインに取り組む両社の代表が議論を展開しました。

西村氏から「地元企業や自治体はメタバースをどう捉えているか」という問いに対し、毛利は「まだ参入企業は少数。 だからこそ、道頓堀や大阪城など親近感の湧く場所を再現し、まず体験してもらうことが重要」と強調。ビジネス化については「道頓堀の串カツをメタバース内でクリックすると実際に届く、といった展開も現実的」と語りました。
峰崎氏に対しては「様々なクリエイターがメタバース内で渋谷を作る中で、なぜ東急が正確に渋谷をデジタル再現するのか」という質問が投げかけられました。 峰崎氏は「イベントの追体験や防災シミュレーションにおいて、正確性が重要」と回答。毛利が紹介した大阪球場の再現について「世代間コミュニケーションのきっかけになる」という話に共感を示しました。
特に盛り上がったのが、防災訓練への活用です。 毛利がRobloxでの消防士体験ゲームを紹介すると、峰崎氏は「一緒にやるところ、めちゃめちゃ面白そう」と反応。 西村氏からは「農業や漁業など労働者が減っている職種にも応用できそう」、峰崎氏も「東急沿線の職業体験や、東急ゆかりの伊豆の温泉旅館などでも体験コンテンツが作れそう」と、具体的な展開の可能性が議論されました。
まとめ
東急という大手デベロッパーと、地域密着型で成長してきたMeta Osakaという異なる立場から、共通して語られたのは「デジタルとリアルの融合」の重要性でした。
メタバースは単なるバーチャル空間ではなく、防災訓練、歴史教育、世代間コミュニケーション、観光促進、EC展開など、多様な社会課題の解決ツールとして機能し始めています。
都市の未来を考える上で、メタバースはもはや選択肢の一つではなく、必須の検討事項となりつつあることが実感できるセッションとなりました。

Meta Osakaでは、自治体・企業向けのメタバース活用相談も受け付けています。 まずはお気軽にご相談ください。
▪️お問い合わせフォーム:https://www.meta-osaka.co.jp/contact
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・Meta Osaka公式サイト: https://www.meta-osaka.co.jp/



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