【イベントレポート】ゲームの世界で採用説明会?!大阪発の「バーチャル採用」手法発表
- 株式会社Meta Osaka
- 7月25日
- 読了時間: 8分
2025年7月14日、トゥモローゲート株式会社様の大阪本社において、ゲームプラットフォーム「Roblox」を活用した新しい採用手法に関する発表会・体験会が開催されました。
関西圏の企業経営者や人事担当者など25名が参加し、従来のオンライン採用説明会の課題を解決する「第三の採用手段」として大きな関心を集めました。

深刻化するZ世代採用の課題
現在の採用市場では、2025年卒の内定辞退率が63.8%、大学卒業者の3年以内離職率が34.9%という厳しい状況が続いています。
特に中小企業では、従業員5人未満の企業で59.1%、5〜29人の企業で48.8%と、大企業(28.2%)を大きく上回る離職率となっており、人材確保は経営の重要課題となっています。
コロナ禍で一気に浸透した従来型のオンライン採用説明会では、「画面越しでは企業文化を伝えづらい」「参加者の熱量が見えにくい」といった課題が指摘されており、特にデジタルネイティブ世代であるZ世代に対する効果的なアプローチ手法が求められていました。
Robloxが持つビジネス活用の可能性
今回採用されたRobloxは、月間アクティブユーザー数3億8000万人を超える世界最大級のゲームプラットフォームです。
日本市場では2024年にユーザーが前年比56%増と急拡大しており、ビジネス活用事例も増加しています。
中心ユーザー層は10歳から15歳ですが、近年は17歳から24歳の若年層ユーザーも急増し、現在では13歳以上のユーザーが58%を超えるなど年齢層が多様化。採用ターゲット層であるZ世代にも効果的にリーチできることが特徴です。
デジタル空間にオフィスを忠実に再現
株式会社Meta Osakaが企画・制作したRoblox上のバーチャルオフィスでは、従来の説明会のように「話を聞くだけ」ではなく、求職者がオフィス内を実際に歩き回り、働く環境を「体験」できる仕組みを構築しました。
主な特徴
全国どこからでもスマートフォンで参加可能
3Dアバターによる没入感のある体験
リアルタイムでの双方向コミュニケーション
ゲーム要素を取り入れた参加型コンテンツ

トゥモローゲート代表取締役 西崎康平氏〜「未来の当たり前」への挑戦〜
トゥモローゲートの代表 西崎氏は、これまで同社が取り組んできた革新的な採用手法の延長線上に今回の取り組みを位置づけています。
「私たちはこれまで『常識にとらわれない採用手法』として、SNS採用や社長採用など数多くの施策を実施してきました。 その新たな施策としてRobloxを活用できればと考えています。 また採用の取り組みだけでなく、子どもたちが仕事を身近に感じられる新たな入口になると期待しています。 去年から子どもに仕事のことを教えるキッズビジネススクールを開催していますが、YouTubeで20万人、Xで11万人のフォロワーを持ちながらも、その応募数は30人程度にとどまっていました。 このゲームという手段を用いることで、子どもたち同士の口コミから一気に広がる可能性を感じています」
西崎氏が特に注目するのは、従来の採用プロセスからの脱却です。 「もう普通に『志望動機は何ですか?』みたいな選考はやりたくない。 みんなで遊びながら、例えばタイムアタックをグループワークでどのチームが一番早くクリアできるかを競い、戦略を練るところからチームでやってもらう。 そういう遊びながら会社のことに興味を持ってもらうツールとして活用したい」と具体的なビジョンを語りました。
同氏は今回の取り組みを「未来の当たり前になる可能性を秘めた新しい形」と表現し、自社の採用強化だけでなく、同じ課題を抱える企業にとっての実践モデルとしての役割も期待しています。

Meta Osaka代表取締役 毛利英昭〜メタバース総合商社としての戦略的視点〜
Meta Osakaの代表 毛利は、不動産業界で26年の経験を持つ異色の経歴から、メタバース業界への参入背景を説明しました。
「私自身、超アナログな不動産業界出身で、メタバースとは縁遠い存在でした。しかし『大阪を世界一おもろい街に』というミッションのもと、2023年にMeta Osakaを設立し、メタバース界の総合商社を目指しています」
毛利は、メタバースを「新しいインターネット」として位置づけ、その普及の必然性を強調します。「2000年代はインターネットを『使う』時代でしたが、2020年代はインターネットに『入る』時代。企業が公式サイトを持つのが当たり前であるように、今後はバーチャル空間上に企業の公式ワールドを構築することが標準になると予想しています」
Meta Osakaでは、これまでフォートナイト上に大阪城や道頓堀、なんばパークスなど大阪の名所を再現し、地域活性化に取り組んできた実績があります。 「今回は新たにRobloxというプラットフォームを活用し、企業が抱える採用課題の解決に挑戦します。Robloxを選んだ理由は、スマートフォンからでも気軽にアクセスでき、ビジネス活用の可能性が高いことです」と戦略的な活用理由を明かしました。

Meta Osaka Roblox事業部 江畑翔吾〜メタバースの教育・社会課題解決への応用可能性〜
Meta OsakaでRoblox関連のプロジェクトを率いる江畑は、前職の東京消防庁での経験を活かし、メタバースの教育・社会課題解決への応用可能性を語りました。
消防士時代の経験から、『家を燃やすことは現実世界ではできないが、火の危険性を子どもたちに伝えたい』という課題に直面していました。
メタバースなら、家の中を燃やし、119番通報や避難の重要性をゲームで体験してもらうことができます」
またマーケティングの視点ではRobloxの特徴的な優位性について次の通り触れました。
「Robloxの最大のポイントは、決済権を持つ子どもたちに興味を持ってもらえること。プリペイドカードで簡単に課金でき、アバターの服を購入したり、今後は実際の商品も買えるようになります。子どもたちが興味を持って大人たちを動かすきっかけを作れるのがRobloxの特徴です」
制作プロセスについても具体的に説明。
「今回のトゥモローゲートワールドは、GoogleマップとYouTubeの写真だけを使って制作しました。実際に現地に行かなくても、写真とGoogleマップの寸法だけで高いクオリティの3D空間を作れるのが技術的な強みです。
全く同じように作ることで親近感が生まれ、『昨日もゲームで行ったな』という感覚になる。それがブランディングにつながります」
「パッとボタンを押しただけで外国人と話せる空間があり、子どもたちや私たち自身もグローバルに活躍できる世界が目の前にある。
これがメタバースの真の価値だと思います」とメタバースの教育的価値も強調しました。

他社事例に見るメタバース活用の広がり
イベントでは、他社での活用事例も紹介されました。
大阪市内にあるホテルでは、フォートナイト上にホテルを再現したところ、若手社員が積極的にプロジェクトに参加するようになり、「会社が新しい分野に挑戦する」という誇りが社内の活気向上につながったという事例を紹介しました。
また、大手企業によるメタバース活用事例として、IKEA(バーチャル家具店舗でお店に行かなくても家具選びが可能)、カルビーのじゃがりこ(キャラクターを集めるたびにじゃがりこを食べる音が流れ、購買意欲を刺激するブランド体験ゲーム)などが紹介され、マーケティング手法としての有効性が示されました。
参加者からの質問
参加者からは具体的な運用に関する質問が多数寄せられました。
Q. 経営者世代にメタバースを説明するコツは?
A. 毛利:「私たちは『新しいインターネット』と説明しています。メタバースという言葉自体が拒絶反応を受けやすいので、インターネットの延長線として捉えてもらう方が良いでしょう。Robloxなら、スマホですぐに見せることができるので理解してもらいやすいです」
Q. 繰り返し遊んでもらえるゲームを作るのは難しくない?
A. 江畑:「確かに難しいですが、じゃがりこのワールドが良い参考例です。キャラクターを集めるたびに『じゃがりこを食べる音』が流れ、プレイしていると商品が脳裏に焼き付いて、翌日つい買ってしまう。どういうアイデアを使うかが重要です」
Q. 制作期間と費用はどの程度?
A. 江畑:「基本的なワールドであれば1〜3ヶ月程度です」
毛利:「クオリティにもよりますが、今回のトゥモローゲート様のワールドで費用は国産高級車1台程度。一度制作すれば継続的に活用できます。タクシー広告なら1000万円で1ヶ月だけですが、バーチャルワールドはずっと残ります」
Q. AIとの組み合わせはできる?
A. 江畑:「キャラクターに近づくと文字が表示される程度は可能ですが、完全にAIを埋め込んで自由な会話をするのはまだ発展途上です。プログラミングによってAIらしい反応を少し作ることはできます」
Q. 商業利用に制限はある?
A. 江畑:「フォートナイトは原則商業利用禁止で厳しい審査が必要ですが、Robloxは制限が少なく自由度が高いです。今後Shopifyとの連携により、その場で直接商品を購入できるようになる予定です」

今回のイベントを通じて明らかになったのは、メタバース技術が単なる話題性のあるツールではなく、具体的なビジネス課題を解決する実用的なソリューションとして機能し始めているということです。
特に、デジタルネイティブ世代への効果的なアプローチ手法として、また地理的制約を超えた人材確保の手段として、バーチャル空間での採用活動は有効な選択肢となりつつあります。
参加された皆さまからは、「今後の教育研修事業に活用してみたい」「医療での可能性を知りたい」といった各社の事業分野での活用可能性についてお声をいただきました。
人材確保競争が激化する中、従来の手法では限界を感じている企業や、地域活性化の新たな手段を模索する自治体にとって、メタバース空間の活用は重要な検討課題の一つとなることでしょう。
今後、このような「体験型アプローチ」がどの程度普及し、実際の成果にどう結びつくかが注目されます。
開催概要
イベント名: バーチャル×企業戦略:採用・CSR・ブランディングの未来を拓く
開催日時: 2025年7月14日 19:00〜21:30
会場: トゥモローゲート株式会社 大阪本社
参加者: 25名(経営者・役員・マーケティング担当者・自治体関係者等)
主催: トゥモローゲート株式会社、株式会社Meta Osaka
※本イベントは、Robloxが主催、承認、または 管理するものではありません。
関連URL
トゥモローゲートワールド体験: https://www.roblox.com/ja/games/108053004589063/unnamed
トゥモローゲート公式サイト: https://tomorrowgate.co.jp/
Meta Osaka公式サイト: https://www.meta-osaka.co.jp/
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000061.000131350.html
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